平常時の健康・安全課題のソリューションとして普段使いすることで災害に備えるXShelter断熱シリーズ(2024年秋冬に発売)XShelter暑熱シリーズ災害時の健康・安全課題(厳しい寒さ、暑さの中での避難)平常時の健康・安全課題(災害級の寒さ、暑さの中での暮らし)平常時の健康・安全課題の解決を通じた災害対策の推進ワークマン・日赤救護研による共通解の共創(例:XShelter、フラッシュライトレイン)「Tent on the bed」段ボールベッドとワークマンのテントの組み合わせが、地面からの冷気を緩和、テントで外気を隔てることで直接的な冷気を遮断し、避難時の寒冷対策に貢献。中でもソーシャルメディアを使ったPR活動についてはいつも感心させられます。ワークマン公式アンバサダーの⽅々がSNSで冬の災害への備えや低体温症予防についてワークマンの製品を駆使して提案するなど、ワークマンのPR活動は、私たち⽇赤災害救護研にとっても学ぶことが多く、常に注⽬しています。こうしたPR活動を通じて、従来の防災教育ではアプローチできなかった層の⽅々にも情報提供ができると思うので、これからも積極的に続けてほしいです。柏⽥:PR活動については、アンバサダーの⽅がそれぞれのアイデアを駆使して、ワークマンの製品をパッケージで提案してくれます。アンバサダーのみなさんは、ワークマンが⽇赤災害救護研と連携している⽬的を⼗分理解して発信しているので、災害時に役⽴つ重要な情報であれば、どんどん⼤きな波になってその先にいるユーザーへと効果的に伝わっていくのだと思います。そこにソーシャルメディアの可能性とパワーを感じます。曽篠⽒:ワークマンと⽇赤災害救護研との連携は始まったばかりです。新しいメンバーとして、社会課題の解決に向けて、現場で働くプロ職人の皆様⽅、全国の加盟店の⽅々、アンバサダーの⽅々など、これまで作り上げてきたコミュニティーの良さをもっと活かせるように協⼒していきたいと思います。これからも、平常時と災害時の社会の健康と安全に関するユーザーの皆様⽅の困りごとに耳を傾け、その解決のためにワークマンと一緒に考える新しい役割を担っていきたいと思います。曽篠⽒:XShelter暑熱は、厳暑期演習の際に試⽤しました。35℃を超えるとても暑い体育館の中で救護要員たちと一緒に試したのですが、その性能と可能性を強く実感することができました。また、2024年11⽉にインドネシアのスマトラ島を訪問した際も、XShelter暑熱とXShelter超透放湿を着⽤しました。30度近い気温下、XShelter暑熱を着⽤して現地の空港で⾬宿りをしていた時には、服を濡らして強い⾵にあたると肌寒さを感じると思いました。その上、なにより軽いのでトラベルウエアとしても重宝しそうです。赤⼗字の救援活動では、海外への⻑距離の移動を伴うこともあります。その際、軽量のウエアは着⽤するうえでも、携行するうえでも⼤変助かります。また、XShelter超透放湿は、ベンチレーション機能がついているので、乗り継ぎの空港や機内などでエアコンが効いている環境と効いていない環境での温度調節が楽に行えるのもメリットです。XShelter断熱(2024年試作段階のサンプルで着心地を体感しながら素早く製品開発にアイデアを落とし込む。両者の培ってきた経験が形となる瞬間だ。秋冬発売)は、能登半島地震対応のときに、ワークマンから防寒着として送ってもらい、現地で着⽤しました。着⽤してみると、とても軽くて暖かいので、従来の防寒着と比べて一⽇の作業後に感じる疲労感がまったく違うのに驚きました。柏⽥:普段使いできることが重要という観点から、今後の製品開発にどのようなアイデアや⼯夫が必要でしょうか。曽篠⽒:私たちは、平常時の健康・安全に関する課題と、災害対策の共通解を提案するのが⼤事な役割だと思っています(図1)。たとえば、クーラーの利⽤を控えた屋内は、停電によってクーラーが利⽤できない避難所と似た環境です。どちらも暑さや湿度による健康被害の予防が求められます。XShelter暑熱ウエアという共通解の提案が、平常時の「災害級の暑さ」対策として普及すれば、普段から災害を意識しなくても、結果として厳暑期の災害時に皆様の⾃助を⽀えることに役⽴つと思います。た点を具体的な意見として、その都度フィードバックしてくれます。私たちは、そのアドバイスを可能な限り製品に互いの相乗効果から⽣まれるアイデアを大切に柏⽥:いつも曽篠先⽣は、製品を試している中で気付い落とし込んでいくように努⼒しています。そうして完成した製品に対して⾼く評価していただけるので、その度に⾃分たちのものづくりが間違っていなかったと実感できて確かな⾃信につながっています。曽篠⽒:ワークマンとの連携の中で本研究部⾨の根本昌宏先⽣により、「Tent on The Bed」という新たな救援⼿法が発明されました(特許出願中)。段ボールベッドの上にワークマンのテントを載せるというひと⼯夫で、暖房がない避難所でもある程度の保温効果が得られ、低体温症を予防することが期待できます。これはワークマンとの連携がなければ実現しなかったアイデアだと思います。そして今、「オープンドア」というコンセプトのもと、新たなウエア開発の構想を進めているところです。これまでインドア、アウトドアと分かれていた衣類を一つにしたウエアを考えています。普段から屋内でさり気なく着ているウエアが、そのまま災害時には屋外でも機能するというものです。半纏を着てちょっとそこまで気軽に出かけられるようなイメージです。柏⽥:そうした⽇常⽣活から使えるウエアを考える上で、トレンド感やデザイン性も⼤切にしたいと私たちは考えています。過度な装飾は必要ありませんが、普段身につけるものだからこそ、シルエットやカラーなどにはこだわった製品づくりを心がけています。図1SNS を活かした発信⼒で⼀⼈でも多くの⽅に情報を届けたい曽篠⽒:ワークマンの強みは製品だけではないと思います。A64
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