やすひろだいすけワークマンに求められる新たな役割とは田 大篠 恭曽裕柏輔日本赤十字看護大学附属災害救護研究所災害救護技術部門部門長そしのワークマン製品開発部部長兼快適ワーク研究所所長かしわだいつどこにやってくるかわからない地震や異常気象による災害。そのとき、ワークマンとその製品にできることってなんだろう。ワークマンの製品開発アドバイザーとして連携している日本赤十字看護大学附属災害救護研究所(以下日赤災害救護研)の曽篠恭裕先生(熊本赤十字病院国際医療救援部)と、快適ワーク研究所所長の柏田大輔が災害⽀援にかかわる企業のこれからを語り尽くすスペシャル対談をお届けします。「厳冬期災害演習」寒冷地での被災を想定し、毎年1⽉に北海道の北見で行われる災害演習。氷点下になる寒さの中、夏とは全く異なる災害対策について専⾨家たちが⾃ら体験しフィードバックを重ねている。XShelter という共通解がいざというときの助けに柏⽥:曽篠先⽣には、実際にXShelterシリーズの性能を、柏⽥:ものづくりの観点から、カテゴリごとに責任者を置いて、製品の開発からリリースにいたるまで、ある程度の権限を持たせています。40年以上に渡って培ってきたノウハウやネットワークの相乗効果が、そうした意思決定のスピードアップにつながっていると思います。曽篠先⽣は、こちらが実験してもらいたいアイテムをいち早く実証して、フィードバックしてくれます。そうした製品開発へのアプローチにおいても、すごく波⻑が合いますし、歩調も合わせてくれます。おかげで互いにスムーズなコミュニケーションが取れているのだと思います。曽篠⽒:私は、これまで、国内外の被災地で救援活動に従事してきましたが、現地に到着してすぐにテントを設営する余裕もなく、倉庫の地べたに寝たりするケースもありました。私が最初のミッションで行ったインドの砂漠では、早朝は0℃近くまで気温が下がりました。そうなるとエマージェンシーシートに包まるくらいでは寒さを防ぐことができませんでした。あのときにXShelterシリーズのような⾼機能ウエアがあれば、とても助かっただろうと思います。また、災害時は、被災者の⽅々は着の身着のまま逃げることもあります。寒い避難所で身を寄せ合っている姿をみると、発災前から⾼機能な製品が普及していれば、将来的な災害対策に有効なのにとあらためて思います。フィールドテストを通じて試していただきましたがいかがでしたか。促進するため、「快適ワーク研究所」を2023年2⽉に設⽴しました。程なくして、⽇赤災害救護研の曽篠先⽣から直々にご連絡をいただいて弊社と⽇赤災害救護研の連携がスタートしました。あの時はどんなきっかけでワークマンにお声掛けいただいたのですか。 曽篠⽒:私たちの災害救援技術部⾨では、厳しい気候環境下での災害に備える研究を進めています。このため、以前から、厳冬期の災害に関する研究に取り組む⽇赤北海道看護⼤学の根本昌宏先⽣(⽇赤救護研)と「ワークマンさんと連携できるといいですね」という話をしていました。2023年1⽉、⽇赤北海道看護⼤で厳冬期の災害演習が開催された時も、私は⽇本赤⼗字社の装備ではなく、私物のワークマンの防寒着や防寒靴を着⽤して参加しました。その意図は、避難所に逃げてきた住⺠の⽅を想定した検証を行うためです。救護要員が到着してから救援活動を開始するまで、どうしても時間がかかります。その間、被災者の⾃助(⾃分と家族の安全を守ること)を⽀援し、可能な範囲で避難⽣活に適した衣類や装備をワークマンの⽅々と提案したいという思いから、ワークマン製品の有効性を確認するのが⽬的でした。ちょうどその頃「快適ワーク研究所」設⽴のニュースを知って、すぐにワークマンの広報担当の⽅に連絡させていただいたのがはじまりです。柏⽥:それから曽篠先⽣とは何度もコミュニケーションを日赤災害救護研との連携から⽣まれる可能性とは柏⽥:ワークマンは、様々な企業や⼤学との共同開発を重ねていきました。とくに、防災⽤品を多くの⽅に広めて災害に備えるのではなく、普段から⽇常的に使っているアイテムが災害時に役⽴つことこそが重要だという発想に共感しました。また、全国に1000店舗以上ある拠点と、過酷な作業現場にも対応できる製品を扱っている点で、ワークマンには被災地の⾃助を⽀える⼤きなポテンシャルがあると以前から感じていました。そこへタイミングよく⽇赤災害救護研から連携の打診があったのは願ってもないことでした。このチャンスを活かして、災害に対する新しい考え⽅の普及を⽇赤災害救護研と協⼒しながらいっそう進めていけると考えています。な価格」、そして「店舗数」の多さ、この3つが⼤切なポイントだと思います。平常時と災害時を通して、ワークマンならではの専⾨性を活かした防災へのアプローチを持続可能な形で展開できるのが強みです。エアコンが使えない環境下での暑さや寒さ、屋外での⾵⾬など、これまで取り組んできたアウトドアでの課題解決は、電気や建築物というインフラが機能しない災害時にも通じます。だからこそ、災害時に被災者やボランティアの⽅々が、こぞって近隣のワークマンの店舗を利⽤しているのだと思います。さらに、ワークマンの優れているところは、製品開発における意思決定のスピードが⾮常に速い点です。あらゆる課題に対して迅速かつ柔軟に対応してくれるので助かっています。平常時の課題解決が災害対策につながる曽篠⽒:キーワードとしては、やはり「⾼機能」と「⼿頃A63高機能、手頃な価格の普段着こそが災害時に多くの命を守る日本赤十字看護大学附属日本赤十字看護大学附属災害救護研究所ワークマン災害救護研究所ワークマン
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